栄養療法研究室
1.主要メンバー
室長 | 瀧本 秀美(併) |
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2.研究目的・背景
妊娠期の栄養を含む環境要因が、児のDNAの配列変化によらない、遺伝子発現を制御するシステムにおける変化(エピゲノム変化)をもたらすことが知られています。近年、若年女性の「やせ」志向だけではない妊婦の低栄養リスクが増しています。次世代の疾病リスク低減のためには、個別化した低栄養対策の開発が急務であると考えられます。当研究室では栄養疫学・政策研究センター・身体活動研究センターと協力して、以下の研究に取り組んでいます。
3.研究内容
I. 摂津市の妊婦を対象とした栄養・食生活等に関する縦断調査(通称名:Pregnancy And Nutrition Cohort At KEnto: PANCAKE Study)本研究では、妊娠前の体格別・妊娠各期の栄養・身体活動・体重の実態把握を中心的な目的として、自治体をベースとした妊婦の縦断調査を行い、特に以下の点を明らかにします。
1)我が国の妊婦における、妊娠前の体格別・妊娠各期の栄養・食生活、身体活動・運動、体重・体組成の実態
2)妊婦における栄養摂取状況・身体活動状況の簡易的な調査手法の妥当性検証
食事記録法を基準とした食物摂取頻度質問票の妥当性
加速度計法を基準とした身体活動質問票の妥当性
3)妊娠中の栄養・身体活動をはじめとする生活習慣・身体状況と妊娠の経過や転帰、児の健康との関連
II. 乳幼児の栄養摂取実態把握のための調査票の開発研究
「日本人の食事摂取基準」策定にあたり、日本人の乳幼児、特に生後6~11か月における栄養素等摂取量のデータの不足が指摘されています。このため、乳幼児における栄養素等摂取量を簡易にかつ正確に評価するための、質問票の開発が求められています。令和4年度に作成した乳幼児の栄養素等摂取量把握のための質問票案の妥当性を検証するために、開発した質問票と、食事記録を平日休日2日ずつ秤量で実施した摂取量を比較検討するための調査を1~2歳児を持つ母親を対象に実施しています。