臨床栄養研究センター
わが国では、がん・糖尿病・脂質異常症・高血圧などのnon-communicable diseases (NCDs)の有病率が増加の一途をたどっています。さらに、NCDsの発症には胎児期から乳幼児期の栄養状態が影響するとの研究報告が多数発表され、Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD)として知られています。NCDsの患者さんでは、長期にわたる服薬を必要とされる方も多く、日常生活において食事や身体活動に配慮が必要な場合も多々あります。 このセンターでは、NCDsの発症予防・重症化予防に影響する栄養摂取について、ライフコースを通じて患者さんの遺伝的背景等を含めた環境要因を解明する研究を実施しています。こうした成果を踏まえた、患者さん個人にあった個別化栄養管理方法の確立を目指します。
・栄養療法研究室
次世代の疾病リスク低減のため、栄養疫学・政策研究センター・身体活動研究センターと協力して、摂津市の妊婦を対象とした栄養・食生活等に関する縦断調査や乳幼児の栄養摂取実態把握のための調査票の開発研究等の個別化した低栄養対策の開発に資する研究に取り組んでいます。
・栄養代謝研究室
エネルギー代謝や、たんぱく質、脂質、炭水化物などの主要栄養素の適切な摂取に関する調査研究を行い、エネルギーや主要栄養素に関する食事摂取基準策定に資することを目的としています。また、これらの過剰、過少摂取で生じる肥満や生活習慣病の発症機序とそれらの予防法に関する研究を行っています。
・行動生理研究室
食事・栄養や身体活動などの日常的な行動や生活習慣が健康や疾病の発症にどのように関与するかを明らかにし、これらの生活習慣因子と遺伝的要因や腸内細菌との相互作用を解明し、個々の特性に合わせた健康増進のための行動・生活習慣の提案を目指しています。また、低栄養やフレイルハイリスク者の危険因子を特定し重症化予防に資するエビデンス構築を目指しています。