ご挨拶
理事長 中村 祐輔(なかむら ゆうすけ)
平成27年の独立行政法人医薬基盤研究所と国立健康・栄養研究所との統合によって生まれた国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所発足以降、第1期中長期計画に基づいて、「創薬デザイン研究センター」を含む6センター体制を構築しました。また、東京にありました国立健康・栄養研究所が、大阪府の健都(吹田市・摂津市)に移転し、両研究所が医療機関や患者さんたちと連携を深め、健康寿命を延ばすプロジェクトに取り組んでおります。
令和6年には戦後の団塊世代が後期高齢者となり、健康で長生きすることの重要性がますます高まってきました。そのような中で、令和4年度よりスタートしました研究所の第2期中長期計画では、まさに、「人生100年時代」を見据えた諸課題に取り組んでおります。その1つのキーワードになるのが「個別最適化」です。食事や運動を通した健康維持・増進においても、病気となった場合の治療法選択に際しても、お一人おひとりに合わせた最適な指導と医療の提供を行うことが、これからの時代には求められます。先端的AI解析技術を利用した創薬や栄養学などをさらに進化させ、社会還元につなげたいと考えています。
さらに、2つの大阪府立病院、大阪国際がんセンターや大阪府立母子医療センターと包括的に連携することによって、患者・医療機関・研究所が一緒になって、今は治らない病気を治すことができる病気にする取組をスタートしました。医薬基盤・健康・栄養という3つのキーワードを持つ国の研究機関として、その存在意義に立ち、民間企業が取り組みにくい難治性疾患や希少疾患を対象にした研究開発は研究所としての重点領域の1つとして取り組んでいます。また、健康維持から医薬品開発にわたって、2つの研究所が統合されたメリットを最大限に活かすため、医薬分野と健康・栄養分野の融合領域にもさらに力を注いでいきます。融合領域においては、栄養と腸内細菌・免疫関連研究などで新たな可能性を開拓しつつあります。
今後も革新的な医薬品開発のための基盤技術の開発、食と栄養・運動に関する調査研究、自由な発想に基づく基礎的研究などを通して、健康長寿の延伸に貢献できますよう一層の努力を続けてまいりますので、皆さま方のこれまで以上のご支援を賜りますようお願い申し上げます。